今回はソニーの密閉型モニターヘッドホン「MDR-CD900ST」のレビューです。
本機は1989年に法人向けに、1995年に一般向けにリリースされ、日本の音楽業界のスタンダードとなり、2021年現在でも売れ続けている驚異的なロングセラーヘッドホンです。
Contents
スペック
メーカー:ソニー(株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ)
型番:MDR-CD900ST
発売日:1989年(法人向け)、1995年(一般向け)
再生周波数帯域:5~30000Hz
音圧感度:106dB/mW
最大入力:1000mW
インピーダンス:63Ω
重量:約200g(コードを含まない)
ドライバー:40mm、ダイナミック型、ドーム型(CCAW採用)
構造:オーバーヘッド、密閉型、オンイヤー
ケーブル:太さ4mm、2.5m、着脱不可、ステレオ標準プラグ
付属品:なし
開封
業務用ということで箱の中身は本体と紙切れ一枚のみという構成となっています。簡素。
外観・構造・装着感
ソニーらしく黒と赤を使ったデザインで、1989年に発売されたとは思えないほど洗練されいる印象。「for DIGITAL」が当時のアナログからデジタルへの移り変わりを感じさせます。
ジャックはゴツくて丈夫そうでグッド。抜き差しが楽そう。金メッキではなく銀色のメッキ(調べたところニッケルメッキらしい)。なおステレオ標準なので注意。ステレオミニで使用したい場合は変換コネクタなどが必要。
ハウジングは回転し、片耳モニターにも対応しています。
そして極限までドライバーに耳を近づけるためでしょうか。イヤーパッドが薄い!!!!
イヤーパッド表面の材質はチープなカサカサタイプ。
ヘッドバンドも薄め。表面は合皮かな?テカテカタイプ。中に少しスポンジが入っています。
アジャスターはある程度のクリック感があるタイプ。
持ってみると非常に軽く取り回しが良さそう。スタジオで重宝されるのも納得。
さて、装着してみました。よくあるアラウンドイヤー寄りのオンイヤータイプです。耳に当てて固定するタイプ。ドライバーが超近い。軽さと薄さのおかげか首を振ってもズレにくいです。フィット感は良好。
音質
リスニング環境はPC→USB→FiiO K5 PRO。
では聴きます。おお!!
ネットのレビューで、「低音が出ない」「刺さる」「高音寄り」というのを何度も目にしていたので、CD900STはスカキンなのだなと思ってましたが、結構な量で締まった低音が出ていてまず驚き。クール系の格好良い低音でかなり好印象。そういえば15年くらい前に試聴したときも「ベースが格好良いな」と思ったんだよな。
高音は十分な量でしっかり出ていますが、高音ばかり出るという印象はありません。高音・中音・低音バランス良く出ていると思いました。サ行も予想していたより刺さりません。
モニターらしくとても近い音で硬い音。超クリア。響きや潤いは少なめ。
解像度は評判通りの高さ。高音から低音まで分離がかなり良いです。
ギター、ベースのキレが良く全体的に音圧も高いのでノリが良いです。
ボーカルはかなりドライなのでウェットに聴きたい人は辛いかも。
悪く言えば狭く硬く退屈で疲れる音。良く言えばクリアで情報量が多く実体感に優れ素直な音。
合う音楽
ギターを主体としたロックはかなり高いレベルで気持ちよく聴けました。
平面的に張り付き乾いた音のギタージャキジャキ、ボアつかず芯のあるベースブンブン、無機質なボーカル、高い音圧。やっぱりギターとベース、特にギターが良いです。
他のジャンルも悪くないです。解像度が高いのでとにかく隅々まで聴きたい時ならなんでも楽しいかも。
打ち込みやポップスは普通に良いしバラードやクラシックも意外と良いです。それらが得意なヘッドホンとは別のベクトルで良さがあります。解像度の高さ。実体感。生音感。張り付き感。
まとめ
1989年から現在まで売れ続けているレジェンドヘッドホン「MDR-CD900ST」の完成度はやはり高かった。選ばれる理由がわかったような気がします。
色々書きましたが「軽い」ことが本機の良さの中々の割合を占めていると思いました。頭に乗っけるものだからね。