「(あなたは)好きな芸能人はいらっしゃいますか?」
TVのインタビューでよく聞く文言だ。
この表現は敬語として合っているのだろうか。
もし合っているのだとして、「あなた」に対しての敬語だとする。じゃあ、これを謙譲語で言ったら「私には好きな芸能人がおります」となるということになる。どうだろう。うーん、変だな。
では「あなた」ではなく「芸能人」に対しての敬語だとしたら?
その場合、疑問文から肯定文に変換すると「私には好きな芸能人がいらっしゃいます」となる。これも変だな。
うーん。
「いらっしゃる」も「おります」も違和感がある。「好きな芸能人がいる」は大丈夫。
○○の中身を「動物」に変えてみる。
「好きな動物はいらっしゃいますか?」「好きな動物はいますか?」とは聞かない。通常、「好きな動物は何ですか?」と聞く。
謙譲語の「私には好きな動物がおります」も微妙。
「好きな動物はいらっしゃいますか?」は何か、動物に敬語を使っているような気分になる。「芸能人」の場合もそうで、「芸能人」に敬語を使っている気分になる。
でも単に「いますか?」だと「敬語を使え!」と言われてしまいそうでなんとなく言いにくい。
動物の場合を倣って「好きな芸能人は誰ですか?」と聞くのが無難であろう。