城下工業 SW-HP300 レビュー 無骨な日本産ヘッドホン

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城下工業のセミオープン型ヘッドホン「SOUND WARRIOR SW-HP300」のレビューです。城下工業という長野県の企業が作っているヘッドホンのフラッグシップモデル。MADE IN JAPANです。


Contents

スペック

メーカー:城下工業
型番:SW-HP300
発売日:2020年1月22日
再生周波数帯域:10Hz~35kHz
出力音圧レベル:102dB/1kHz,1mW
最大入力:150mW
インピーダンス:40Ω/1kHz
重量:230g(コードを含まない)
ドライバー:40mm、ダイナミック型
構造:オーバーヘッド、半開放型、オンイヤー
ケーブル:長さ2.5m、着脱可能、両出し、3.5mmステレオミニプラグ、2.5mmモノラルミニジャック×2(L/R)、
付属品:6.3mm標準プラグ変換アダプター

本機は同社のセミオープン型ヘッドホン「SOUND WARRIOR SW-HP100」の上位モデルとして発表されました。価格差はメーカー標準価格で4950円です。

商品ページに「モニター」の記載がないのでリスニング用のヘッドホンと思われます。

外観・構造

見た目自体はレトロで無骨な業務用機器風でかっこいいと感じます。

SOUND WARRIORシリーズのヘッドホンデザインで特筆すべきは回転する機構が一つもないこと。これはかなり珍しい。

一定の価格以上の大抵のヘッドホンには二箇所の回転機構が存在します。一つは顔側面に対する水平角度調整機構。もう一つが同じく垂直角度調整機構です(全方向に3Dで動くものもあります)。しかしSOUND WARRIORにはこのどちらもありません。

更に、大抵のヘッドホンは耳に合わせる形でヘッドバンドに対してイヤーカップに角度が付けられていますが、これもありません。ヘッドバンドからそのまま一直線です。

更に更に、イヤーパッドの形状が特殊で、見た目の大きさからアラウンドイヤー型と思いきやホールがかなり小さく完全なオンイヤー型となっています。合わない人はとことん合わないでしょう。

メーカー曰く「人間工学に基づいたエルゴノミックデザインのイヤーパッド(立体裁断された高弾性パッドや合成皮革を手縫いで成型)」とのこと。

この文言に嘘はなく確かにフィットはするのです。が、やはりオンイヤー。私の場合はすぐに耳が痛くなってしまいました。

ただ機構が少ないと故障も少ないのでそこはメリット。絶対に故障させないという断固たる意思があるのかも知れません。

音質(箱出し)

リスニング環境はPC→USB→FiiO K5 Proです。

一言でいうとアコースティック音楽やクラシック用の低音ホン。HD650のような傾向だと思います。

かなりふくよかな低音。分厚く丸い音。全体的に立体的な音が出ています。暗めの音。

音場はK712・K701よりは狭いが割と広め。

高音の量は少なめ。ですが聴こえないということはなく綺麗に聴こえます。

解像度・分解能についてはかなり高め。手持ちのK712・ATH-R70X・MDR-M1STより高いかも知れない。様々な音が聴こえます。今まで気づかなかったサイドの小音量アコギが聴こえたり、ひと塊だと思っていたフレーズが実は2つが交差していたとか、ここにコーラスがあったのか!と発見したり中々面白いです。

ボーカルについて。ウェットです。男性ボーカル、合います。女性ボーカルはしっとり聴きたい場合は良いですが低音成分が多いのでちょっと微妙なこともあるかも。

2万円強なのでコスパは良いと思います。

SOUND WARRIOR SW-HP10s・SW-HP100との違い

同シリーズの密閉型モニターヘッドホン「SW-HP10s」、半開放型ヘッドホン「SW-HP100」も聴いたのでメモ。

外観・材質について。

イヤーパッドはHP10sやHP100ではカサカサのビニール(HP100のものは多少改善)。HP300ではしなやかな材質に変更されています。HP300のものを除いてかなり安っぽいです。特にHP10sのものは少し動かしただけで「キュッ」というような音を出すためかなり不快です。その反面摩擦力でズレにくいのでガチのモニター用には良いのかも。

ヘッドパッドはHP100とHP300が共通でしなやかな材質。HP10sはカサカサ。

筐体色は微妙に異なっていてHP10sとHP100がダークグレーのような色、HP300がそれよりほんの少し明るい色です。

HP10sがリケーブル不可で片出し、HP100・HP300がリケーブル可で両出し(バランス対応)。

音質について。

HP300を聴いた後だとHP10sはかなり味気ない上、音が団子に感じます。ただ低域の量はHP300に譲るものの低域の音圧や制動はHP10sが勝っているような感じ。

HP100はHP300の低音を減らし高音に寄せたような音。女性ボーカルや高音が綺麗に伸びます。基本能力はHP300の方が高いと感じました。

低音の量 HP300>HP10s>HP100

高音の量 HP100>HP10s>HP300

基本性能 HP300>HP100>HP10s

感想

外観がかっこいい。機構が少なく堅牢そうで良い。リケーブル&バランス対応で良い。音質とに壊れにくさに全振りしたぞ!と言わんばかりの城下工業の気概が良い。MADE IN JAPANで嬉しい。

分解能や表現力が高いのでアコースティック系・クラシック系は聴いていてめちゃくちゃ楽しいです。価格に対する音でいうと良い部類に入るかも。

私の場合は装着感が合わず耳が痛いので長時間のリスニングは無理でしたが、装着感が素晴らしいというレビューも散見されるので合う人合うみたいです。

ネット上にCD900ST用のイヤーパッドが使えるという書き込みがあり、純正以外でも色々と売られているので変えてみようかな。

それでは!

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